「全天球カメラ」というジャンルの製品が少しずつ広がり始めています。
これは、カメラの向いている方向すべてを写し取ることが出来る「魚眼レンズ」をつけたカメラを背中合わせに2台搭載することで、その場から見える360度すべての景色をいっぺんに写し取れるカメラのことを言います。
カメラの正面側すべてが撮影できるカメラは「全天周」、後ろ側も含め全部の景色を撮影できる場合には「全天球」と使い分けられているようです。
このちょっと変わったコンセプトのカメラは、リコーの「THETA」という機種が先鞭をつけたのだと思います。THETA自身もバージョンアップを重ねて、今は動画撮影も可能な機種が販売されています。
偶然か必然か、これとタイミングを合わせる形で「VR」や「HMD」といったジャンルも盛り上がりを見せはじめ、良い方向の相互作用を起こし始めつつあります。
今回は全天球カメラで出来ることと、このジャンルの新製品2機種をご紹介します。
全天球画像とVR、HMD
全天球画像をパソコンのモニターに展開して表示しても、実はすごい感動、といったものはありません。確かにある瞬間のある1点から見ることが出来るすべての範囲が映り込んだ画像は、興味深い対象ではありますが、それ以上のものにはなかなかなってくれません。
ですが、やはり今、流行の兆しを見せつつあるVR(Virtual Reality)やHMD(Head Mount Display)などの技術と組み合わせると、いきなり面白さが跳ね上がる写真・動画になり得ます。
VR技術を使ってHMDで全天球画像を見ると、プラネタリウムのドームに全天周画像を投影してそれを頭をぐるぐる回しつつ鑑賞するような体験を、擬似的にどこででも体験することが出来るようになります。
この技術と全天球カメラを使って撮った映像との相性が抜群に良いわけです。
タイミング的に、やっと比較的一般的に手に入れやすいレベルのパソコンなどの性能が、VRやHMDなどを十分使いこなせる性能を持つまでになった、ということでもあります。
全天球カメラが数を増やしてきたのは、このタイミングを見計らったもの、とも言えます。
ニコン初のアクションカムにも全天球カメラが
ニコンは2016年10月28日から同社初のアクションカム「KeyMission」シリーズを市場に投入しますが、この中に全天球カメラが含まれています。↑画像をクリックするとAmazonにジャンプします。
機種名は「KeyMission 360」で、4K解像度で毎秒24コマの動画の撮影が可能になっています。
この機種もやはり、180度撮影可能な魚眼レンズをつけたカメラを2つ背中合わせに貼り合わせたような構造をしています。
イメージセンサーには1/2.3型の裏面照射タイプ、約2,400万画素のセンサーを搭載しています。
アクションカムとしての資質もかなり本格的なもので、IPX8相当の30m防水、2mからの落下に耐える耐衝撃性、-10度でも動作を保証する耐寒性、IPX6相当の防塵性能も兼ね備えています。
撮影者の視点からの映像をn倍速で見ることが出来るスーパーラプス動画や、タイムラプス動画の撮影も可能になっています。