パソコンのジャンルでは超小型PCが注目を集めています。数年前にインテルが「NUC」と呼ばれる新たなサイズのパソコンをリリースしたところから一気に火が付きました。
以前は考えられなかったような小さなサイズを実現しつつ実用上十分な性能を備えたパソコンで、個人用のみならずオフィスで使うパソコンとしても注目を集めています。
ASUSはこのジャンルでは独自路線を行っている形で、小型化競争には参加せず、十分に小さい筐体ながらある程度の拡張性を確保したPCを販売しています。今回、ASUSの小型PCであるVivoMiniシリーズに新型機VC65が登場しました。
超小型PCを実現できた理由
VivoMini VC65シリーズの説明の前に、超小型PCが実現できた技術的な理由に少し触れておきます。多くの超小型PCの鍵になるパーツのCPUには、ノートパソコンで使われるタイプのCPUが搭載されています。今の主立ったノートパソコンに使われているCPUは、しばらく前の水準だと「超低電圧版」と呼ばれる省電力のタイプのCPUです。
消費電力が少なく発熱も小さいCPUですがその中に、10年ほど前であれば3kgも4kgもあるような大きなノートパソコンでなければ実現できなかったような性能がギュッと凝縮されています。この部分が実用上十分な性能を実現できている理由です。
また、消費電力が少ないと言うことはほぼそのまま発熱も小さいことを意味しますので、CPUを冷やすための冷却機構に従来のデスクトップパソコンのような大がかりな装置がいらないと言うことでもあります。こちらの部分がパソコン本体を思い切り小さく出来る理由の一つです。
そのほかにも記憶装置にHDDにかわって、より小さなサイズを実現できるSSDなどの価格が下がって楽に搭載できるようになったことなどもあり、小さくても非常に実用的なパソコンが作れるようになりました。
超小型PCとしてはやや大きめなVivoMini VC65シリーズ
VivoMini VC65は大きさが約20cm四方に厚さ6cmちょっとと、超小型PCとしてはやや大きめのサイズになっています。その代わりとして、DVDスーパーマルチドライブを内蔵できたり、2.5インチのHDDやSSDを搭載できるスペースが4つ用意されていたりと、小型PCとしては異例とも言える拡張性があるのが特徴です。
また、CPUにはノートパソコンのものよりもハイパワーな、デスクトップパソコン向けの省電力タイプのCPUが搭載できます。一般的なノートパソコンでは採用の少ない4コアCPUも選択できますので、動画のエンコードなど非常に重たい処理でパワーを発揮できます。
インタフェースも豊富
外部インタフェースも豊富に備えているところも特徴の一つです。高速で周辺機器などとのやりとりが可能なUSB3.0コネクタが4つ、キーボードやマウスをつなぐのに適したUSB2.0が2つ、映像出力にはHDMIにDisplayPort、ミニD-Subまで備えてほとんどフル対応です。
無線LAN、有線LANの両方を備えて、ネット接続の面でも万全です。
CPUには、TDP 35WのCore i5-6400TまたはPentium G4400Tを搭載しています。メインメモリは上位機種は8GBを搭載。下位機種でも4GBを載せて実用性の高いパソコンに仕上がっています。
価格は上位機種が86,000円程度、下位機種は62,500円程度とされています。
また、メモリ、ストレージ、光学ドライブ、OSを別売りにしたベアボーンキットも発売予定です。
10年前の大型のデスクトップパソコンよりもパワフル
小型PCのなかでは従来のパソコンのイメージを引き継ぐような、メカっぽい精悍なデザインです。特に上位機種では非常にパワフルで拡張性も高く、ちょっと前のデスクトップパソコンを完全に代替可能な小型PCと言えるでしょう。その分、価格は高めになりますが、非常に幅広い用途をカバー可能な機種に仕上がっていると思います。