VAIOの名前を冠したスマートフォンは既に一度、OSにAndroidを採用した機種が発売されています。
ただその時には、VAIO株式会社はスマートフォンの中身には一切タッチしておらず、形的にはVAIOの名前を貸すだけになっていたようです。そういったこともあって、最初のVAIO PhoneはVAIOらしさの薄いスマートフォンとして、ユーザーにあまり受け入れられませんでした。
これに対してつい先日、4月22日に発売された「VAIO Phone Biz」はVAIO社が初めて本格的にスマートフォン開発に携わった機種です。このため色々な部分にしっかりと「VAIOらしさ」が盛り込まれました。
スペック
VAIO Phone Bizはスマートフォンとして一般的な、AndroidやiOSを搭載した機種ではありません。最近少し話題になっているWindows 10のスマホ版OS、「Windows 10 Mobile」を搭載した、Windowsスマホです。
液晶画面は5.5型のちょっと大きめのフルHD(1920 x 1080ドット)のものを採用。
スマホの心臓部であるSoCというチップには、Androidのハイエンド機種よりも1ランク下のクラスのものを搭載。格安スマホの低価格機種とはひと味違う操作感が実現されています。結構サクサク動いてくれます。
ボディーの裏面はアルミ削り出しの高級感あふれるもので、レーザエッジングで掘られたVAIOのロゴがとてもカッコイイ作りです。
金属製のボディーを使っているにもかかわらず、見た目の大きさとの兼ね合いからか、持った感じはとても軽いスマホに仕上がっています。薄さもハイエンドスマホと同様に薄く、持った感じは更に薄さを感じさせてくれます。
対応する携帯の電波はドコモの使用する電波と相性が良く、特に名前に「Biz」と付くとおりにビジネスユースを考えていることもあって、ドコモの相互接続試験をパスさせています。格安スマホで通信がつながらない、なんてことは滅多にありませんが、この試験を通しているだけで使う時の安心感が違います。
また、SIMロックフリーのスマホとしては珍しく、ドコモのキャリアアグリゲーションにも対応していて最高225Mbpsの高速通信が利用できます。
Windowsパソコンとの相性抜群
VAIO Phone Bizは使ってみるとWindowsパソコン、特にWindows 10を搭載したパソコンとの相性がとても良くなっています。
マイクロソフトのクラウドストレージである「OneDrive」を使ってパソコンとデータのやりとりを簡単に行えますし、パソコンで作ったOffice文書を、VAIO Phone Bizで開いて中身の確認や、ちょっとした修正を行なうことが出来ます。
また、大きなディスプレイにパソコンのWindows 10のような画面を表示できる「Continuum(コンティニュアム)」と言う機能を使って、VAIO Phone Bizでパワーポイントのプレゼンテーションを行なう、なんてことも出来ます。
使い勝手もWindows 10パソコンと共通点が多くなっています。
弱点はアプリの少なさ
VAIO Phone Bizに限らず、Windows 10 Mobileを載せたスマホに共通する弱点ですが、まだまだアプリの数が足りません。特にゲーム、流行のスマホゲームに関してはほぼ全滅です。
ですので個人用としてはスマートフォンで何をしたいかで、使い物になる人/使えない人が大きく別れる機種になっています。スマートフォンで、通話、メール、Webでちょっと調べ物、Skypeなどのインスタントメッセンジャーが使えればいい、ぐらいの用途でしたら既に十分に役に立つスマホにです。
まとめ
VAIO Phone Bizはここまでに発売されたWindows 10スマホにはなかった、持つことに喜びを感じられるスマホに仕上がっています。基本機能は十分に役に立つレベルの機種ですが、個人用としては辛い部分も確かに残っています。
この機種が役に立つかどうかは、ユーザーのスマートフォンへの依存度の高さが鍵となるかもしれません。