PC用スピーカーとして以前から注目を集めているスピーカーがあります。メーカーの名前を聞いてもピンとこない方が多いと思いますが、オーディオに詳しい方であればOlasonicのブランド名は聞いたことがあるかもしれません。
高品質な小型のオーディオコンポーネントも発売してその音質に定評のある東和電子が、Olasonicブランドで発売している卵形のかわいらしい外観をしたPC用スピーカーシリーズがその製品です。
このシリーズの上位機種として、先日ハイレゾ対応を果たした「TW-S9」が発売されました。弟分のTW-S7よりも様々な点でブラッシュアップが行われ、単にハイレゾ対応したのみではなく音質面でもかなりの向上が図られています。
今回はこの、OlasonicのTW-S9をご紹介します。
実はとてもオーディオ的に理想的な形
卵形のスピーカーは見た目はとてもユニークでかわいい外見ですが、実はオーディオ的にはかなり理想的な形です。一般的な四角い箱型のスピーカーでは広い平行な面が内部にできてしまっている関係から、特定の周波数の音の反射でオーディオ的には邪魔な存在である「定在波」がスピーカー内部で発生してしまいます。これを抑えるために、一般的なスピーカーではスピーカ内部の音を吸収するための吸音材をわざわざスピーカー内部に入れているほどです。
ですがスピーカーが卵型ならば、内部に平行な面がほとんど存在しません。このため定在波がほとんど発生せず、スピーカー内部に無駄な吸音材を入れる必要がありません。
また、スピーカーの外部でもスピーカーの箱の角の部分などで音の無駄な干渉が発生しにくく、とても音がよく広がって立体的な音の像が再現されやすくなっています。
さらに卵形は物理的にとても頑丈に作りやすい形状で、簡単にスピーカーの筐体の剛性を上げることができます。
実際にOlasonicの卵型スピーカーでは、この機種でしか表現できないような、独特のとても広い音の空間を表現できます。
ハイレゾ対応のために高音用スピーカーを追加
TW-S9以前の機種ではPCで音を聞く際には非常に近距離で音を聞くことになることも考慮して、音の出る場所が1か所となるようスピーカーユニットは1つだけでした。TW-S9ではハイレゾに対応可能な音の高低の再生範囲をカバーするために、高音用のスピーカーユニット(スーパーツイーター)を追加しています。このユニットも音の像がぼやけないよう、中低音用のスピーカーと同じ軸上にセットされています。
また併せて低音の再生能力の向上も図られていて、結果としてこのサイズのスピーカーとしては非常に優秀なスペックも実現できています。
PC用スピーカーと考えると高価。でも
TW-S9は実売価格が2万円台中ほどと、PC用スピーカーとしてはかなり高価です。ただ、この製品は音の面でもPC用スピーカーの範疇を超えています。かなりピュアオーディオ的にも使える音質を実現しています。今はハイレゾ音源の入手先が基本的にはネット上の音楽のダウンロード販売サイトに限られていますので、ハイレゾ音源を扱うにはPCを利用するのが一番便利です。そういった観点からも、このスピーカーとお手元とパソコンでハイレゾ音源入門を果たすのもいいかもしれません。