10型ぐらいの液晶パネルを搭載したモバイル型の2in1パソコンが結構な激戦区になっています。
CPUなどの機能をSoCのATOMシリーズでまとめている関係上、現代的な水準で見るとパワフル、とは呼べないレベルの性能に落ち着きますが、重たい作業をさせないならば、スペックによっては十分に一台で一通りの作業をまかなえる程度の能力もあるパソコンに仕上がります。
コアとなる機能がほぼ全てATOMプロセッサにまとまっているため、各社ともどうしても似たり寄ったりのスペックに落ち着いてしまうのですが、そんな中でも各社なんとか差別化を行なおうと頑張っています。
そんな激戦区に、「手乗りPC」とも呼べる超小型パソコンで話題となったLIVAブランドが参戦しました。その機種が今回取り上げるECS社の「LIVA TE10EA3」です。
スペック
LIVA TE10EA3では心臓部となるSoCにATOM x5-Z8350を搭載しています。このSoCはCPU部には定格1.44GHz駆動、ブースト時最大1.92GHzで動く4コアのプロセッサを載せています。
統合されているGPU部には、インテルが言うところのEU(実行ユニット)を12個集積していて、ビデオカードで一般的な目安のSP数に換算すると96SP相当になります。そこそこの3D描画のパワーがありますが、特別高性能なわけでもありません。それでも、軽い3Dもののネットワークゲーム程度は動かせる能力はあります。
また、動画再生支援機能を持っていますので、ネット動画などをCPUに過剰な負荷をかけることなく再生できるようになっています。
メインメモリはこのクラスのパソコンには珍しく4GBを搭載。Windows 10が比較的余裕を持って動作します。
ストレージは32GBまたは128GBを選択可能です。32GBだとWindows 10を動かすにはかなりカツカツになりますが、128GBのほうを選択すれば色々な面で運用が楽になるでしょう。
液晶パネルは10.1型のWUXGA解像度(1920 x 1200ドット)。10点マルチタッチ対応のタッチパネルを備えています。
加えてワコム方式のスタイラスペンに対応しており、1024段階の筆圧の検知もできるようになっています。スタイラスペンには電池が不要なところも特徴ですね。
USBポートはType-C形状とマイクロ形状の2つを装備。外部ディスプレイ出力としてマイクロHDMI端子もあります。無線LANは最新のIEEE802.11acに対応するなど、このクラスの製品としてはほぼフル装備と言っていい内容になっています。
IP54クラスの防塵・防沫対応
LIVA TE10EA3の最もユニークかもしれない部分は、このクラス、と言うよりもパソコンとしてはとても珍しい、IP54クラスの防塵・防沫対応を実現しいるところでしょう。屋外での利用で万が一の突然の雨にも安心な仕様になっています。
また、本体と一緒に包むことができるカバーと一体型のBluetoothキーボードも付属しています。キーボード部はカーソル移動キーの上下キーが小さいものの、キー配列にはあまり癖がなく、タッチタイプも容易に行えそうです。
本体にスタンドは備わっていませんが、キーボードのカバー部分を折りたたむことでスタンド代わりに利用できるタイプです。形状的に膝の上での利用はちょっと難しいかもしれませんが、机の上などではノートパソコンライクな使い方が可能です。
重量は公称、本体が600g、カバー付きキーボードが430gとなっています。両方合わせて持ち運んでも1kgちょっとと、モバイル用途にも適切な軽さが実現できています。
何もかもこれ一台では厳しいけれど
LIVA TE10EA3が搭載するSoCは、Coreプロセッサのような本当の高性能プロセッサではありません。省電力に重きを置いたタイプのチップですので、動画編集や高解像度の写真の修正を大量に行なうような、デスクトップパソコンの高性能機でも重い作業をさせるのには正直なところ向いていません。
ですが、オフィス文書の作成、Webの閲覧、ネット動画の視聴といった、より一般的な用途ならば十分にまかなえる性能があります。
バッテリーの持ちも良く、公称6時間のバッテリー駆動時間ですが、ベンチマークによってはこの倍近い稼働時間も記録しているようです。
お値段はストレージ32GBのモデルが44,800円程度、128GBのモデルが59,800円程度となります。
モバイル用のサブ機としてお手軽な一台といえそうです。また、画面サイズが許容できてストレージ128GBのモデルの方ならば、1台目のパソコンとしても十分に使える内容になっていると思います。