ソニーは6月24日にアクションカムの新シリーズを発売しました。最近のソニーのアクションカムと同様のパターンで、4K動画対応機種とフルHDまでの対応機種の2つが同時発売です。
今回は、このソニーのアクションカム新機種、FDR-X3000とHDR-AS300をご紹介します。
遂にアクションカムにも「空間光学ブレ補正」搭載!
家電量販店のビデオカメラ売り場で、レンズが「ギョロギョロ」と、人間の目が動くごとくに動き回るハンディーカムを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あのレンズが大胆に動き回るハンディーカムの手振れ補正機能が、ソニーがそう呼ぶところの「空間光学ブレ補正」というやつです。
通常、光学式の手振れ補正は、レンズの一部だけを上下左右に動かすことで手振れ補正を実現します。この際イメージセンサーは固定したままです。
これに対してソニーの空間光学ブレ補正では、レンズすべてとイメージセンサーをまとめた一式を丸ごと角度を変えるように動かしてしまいます。この動きが人間が目をキョロキョロさせるような動きに見えるレンズの動作になっています。
少なくとも動画撮影において、この空間光学ブレ補正方式を採用したハンディーカムが最強の手振れ補正能力を実現できています。
実はアクションカムにこそ欲しい手振れ補正機能
アクションカムは小型軽量でどこにでも取り付けやすく万が一破損しても価格が安いため、プロも激しく動き回る可能性のある現場で、まさにアクションカムの名前の通りの使い方をされることが多くなっています。結果、アクションカムで撮影する映像は揺れや振動をたくさん含む画像になりがちです。そういった映像を長時間見続けると、見ている側が映像酔いを起こす割合が増えてきます。これを防ぐ、あるいは軽減するには、映像のブレ・振動をできるだけ軽減してやるのが効果的な方法の一つです。このためにアクションカムには手振れ補正機能が求められるケースが増えているのです。
上位機種には手振れ補正対応機が増加
こういった関係で有名メーカー製のアクションカムの上位機種は、手振れ補正機能を採用することが多くなっています。ただ、アクションカムの性質上、動作中にある程度の振動や衝撃に晒されるケースが多くなります。衝撃を受けて動作不良を起こしたり故障してしまっては困るため、今までのアクションカムでは手振れ補正は可動部品のいらない「電子式手振れ補正」が使われることがほとんどでした。
電子式手振れ補正は、カメラのファームウェアの工夫だけで対応可能な比較的組み込むのが簡単な方式ですが、ブレの補正能力はそこそこです。
また、アクションカムではシャッター機能にはCMOS型イメージセンサーの電子シャッターを使っているため、振動が激しい撮影では、「ローリングシャッター歪み」によって映像がウネウネと微妙に変な揺れ具合をしてしまうことも発生しがちでした。
こういったアクションカムならではの要求を根本的に解決できるかもしれないのが、FDR-X3000とHDR-AS300で採用された空間光学ブレ補正です。アクションカム内部に機械的に可動する部品ができてしまうのはちょっと怖いのですが、その部分を解決できたからこその搭載なのでしょう。
ライブビューリモコンも健在
FDR-X3000とHDR-AS300は本体サイズは若干既存機種よりも大きくなっている感じですが、相変わらずコンパクトで、取り付け可能な場所はかなり色々なケースが考えられそうです。また、便利なオプションのライブビューリモコンも健在で、本体と組み合わせて便利に使えるオプションも追加されています。
色々と機能が強化された分、本体価格はFDR-X3000が5万円前後、HDR-AS300が4万円前後と価格が上がっていますが、その分、撮れる映像の質は大きく向上しているはずです。
これらのアクションカムで、今までのビデオカメラの既成概念にとらわれない面白い動画にチャレンジしてみるのも楽しそうです。