ドローンというと、有名なお祭りの会場に機体が墜落したり官邸の屋上に落下した機体があったりと、ネガティブなイメージが少し付いてしまった感があります。
ですが、ちょっと頑張ると誰でも個人レベルでは以前は考えられなかった「空撮」が可能になったり、各種の産業や災害現場での活躍も期待できます。きちんとルールを守って使えば従来の方法よりもはるかに「小回りの利く」軽快さが、色々な可能性を見せてくれるガジェットでもあります。
今回はそんな個人向けのドローンの中で、機能・性能面で今現在の究極の形の一つと思えるものを実現した、DJIのPhantom 4をご紹介します。
安全対策にはこまめに対応
まず最初にこの点に触れておきます。実は首相官邸に墜落して問題となったドローンは、今回ご紹介するDJIのPhantom 4の1つ前の世代、Phantom 3でした。嫌な形で名前を売ってしまった形ですが、DJIではその後非常に素早く対処を行ない、飛行禁止区域では通常はドローンが起動できないような対応を行ないました。
その結果として、あの事件の前後にどこかの省庁が庁舎内でドローンの実演デモを行なおうとした際、使ったDJIのPhantom 3が起動しない、というネタとしてはとても面白い状況が生まれました。
また、DJIではドローンを飛ばせるエリアの地図を公開しています。このような面での安全対策もきちんとメーカー側では取っていて、「道具」側で出来ることはできる限りの対処を行なおうとしています。
あとは「使う側」のモラル、と言うことになると思います。
自律飛行機能が大幅に強化
さて、いきなり話が少し脱線しました。
Phantom 4はPhantom 3から様々な能力が大きく向上していますが、もっとも大きく能力が伸びたのは恐らく自律飛行の機能だと思います。
本格的なドローンは自分の姿勢を把握するためのジャイロセンサーだけではなく、自分の位置や高度を把握するためのGPSセンサー、複数のカメラ、超音波センサーなどを備えています。
Phantom 4ではこれらセンサーとセンサーからの信号を処理する能力が大幅に強化され、ユーザーが飛行経路を指示して飛ばせた場合に経路の途中に障害物があったとしても、カメラでそれを検知して自らの判断で障害物を回避した飛行が行えるようになりました。
また、カメラからの画像上で目的の被写体を指定してやると、被写体が移動したときにはその被写体を追いかけ、さらに画面の中央に被写体が来るようにカメラも制御しながらの飛行を行なうことまで可能にしています。
よほどの強風の中でなければ、ホバリング中にはきちんと自分の位置情報を検知して、ほとんど静止状態を維持することも可能です。
カメラは4K動画の撮影にも対応
搭載されているカメラには、約1200万画素の1/2.3型イメージセンサーが搭載されています。4K解像度で毎秒30コマの動画や、フルHD(1,920 x 1,080ドット)で毎秒120コマの動画の撮影も可能にしています。静止画ならば4,000 x 3,000ドットの画像を撮影できます。また、カメラは3軸の「ジンバル」と呼ばれる、モーターでなめらかに動かせる仕組みに取り付けられています。このジンバルはドローン本体の動きなどに対応してカメラを自在に動かし、機体が傾いても撮影される画像を水平に保つことが出来ます。
また、機体の振動、揺れをキャンセルする機能も持ち合わせていますので、飛行しながらでもとても安定した動画を撮影することが出来るようになっています。
だれでも空撮にチャレンジできる可能性が
かつては空撮というとごく限られた人だけが行なうことが出来た写真や動画の撮影方法ですが、Phantomシリーズのようなドローンの普及で、ちょっと頑張ればかなり多くの一般の人もその世界に乗り出すことが可能な環境が整いつつある訳です。Phantom 4は高機能・高性能な分、Amazonで19万円前後とまだちょっと高価ですが、対応可能なジャンルは非常に広くなるはずです。発想の転換でもっと色々なことも可能になるかもしれません。また、価格には動画対応のかなり高機能のカメラが含まれています。
航空法の整備で自由に飛ばせるエリアはかなり制限されるようになりましたが、それでも空撮は夢のある、一度挑戦してみたい撮影方法の一つではないでしょうか。