ソニーが「Life Space UX」というコンセプトをを打ち出して、様々な製品を開発しています。
その中には、小型で超短焦点型の一見それとは分からない形のプロジェクターがあったり、普通の白熱電灯やLED電球の取り付ける口につけられる電球型スピーカーがあったりします。
これらの製品は今までの家電製品のあり方に疑問を持った開発者の発想から生まれました。
音楽を聴くためには、オーディオ製品の前に「わざわざ聞きに行く」必要がある、TVを見るためにはTVの前に移動しなければならない、そういったところへの根本的な疑問から生まれてきた製品たちです。
今回ご紹介するLED照明と一体になったスピーカーシステム、LSPX-S1も同じ思想の元で作られた製品です。
オーディオ機器を意識させず住空間を音楽で満たす
「グラスサウンドスピーカー」と名付けられたLSPX-S1のコンセプトを一言でまとめるならば、この見出しの言葉となるでしょうか。いかにもオーディオ機器です、という顔をした、リビングになじみにくい形ではなく、普通にリビングにあって生活空間を邪魔しないものから自然に広がる音楽で住空間を満たす、そういった製品です。
「サウンティーナ」の進化形
ソニーにはかつて長さ1mのガラス管を振動板とする非常に高価なスピーカーがありました。LSPX-S1はその「サウンティーナ」という名前の製品を進化させた形のスピーカーです。ガラス管部分はスピーカーの高音域を担当するツィーターとして機能します。そのガラス管の中に、フィラメント状の形をしたLEDが内蔵されていて照明器具としても働くようになっています。
そしてガラス管の下には金属の筐体があり、その中に中低音域を担当する口径50mmのスピーカーが搭載されています。また、ガラス管内部は中低音域を担当するスピーカーの共鳴箱としても使われていて、ガラス管の上部にはより低い音を放射するためのパッシブラジエーターが装着されています。
独特の形状から360度すべての方向に音を放射することが出来るようになっていて、無指向性に近い音の特性になっています。
LSPX-S1から聞こえる音はこの機種独特のもので、高音域の澄んだ他のスピーカにはなかった音が出るようです。また、スピーカーから離れても音圧が下がりにくい不思議な音の空間を作り出してくれます。このためLSPX-S1のことを知らない人がその音楽を耳にすると、なかなかどこから音が出ているのか気づかないそうです。
基本はBluetoothスピーカー
LSPX-S1は基本的には、スマートフォンなどとBluetoothでペアリングを行なって再生を行なうスピーカーです。LED照明部分の明るさの調節なども、スマートフォン側のアプリから行なうことが基本になっています。音の再生範囲は60Hz〜40kHzと、ハイレゾ対応を名乗れるスペックを持っていますが、独特の音質の関係からかハイレゾ対応のロゴは付かない製品です。またソニー独自のハイレゾ対応の音声伝達方式であるLDACにも対応していて、Bluetooth接続でも高音質での再生が期待できます。
音のほうは低音の厚みは若干弱いものの、LSPX-S1独特の音の分解能の高いキレイな再生が出来るようです。
また、LSPX-S1 2台とペアリングを行なうことでステレオ再生も可能です。
まとめ
LSPX-S1は1基で7万円以上する高価な製品ですが、再生機器の存在感をなくした上で空間を音楽で満たせるという他にはないコンセプトの製品です。再生される音質もかなり良く、よほど広い部屋でなければ部屋のどこにいても同じレベルに近い音楽を楽しむことが出来ます。じっくり腰を落ち着けて音楽に集中する、という使い方とは違うかもしれませんが、音楽に浸る生活をするには最も適した製品の一つかもしれません。