超小型PCブームの火付け役の一つとなったECS社のLIVAシリーズ、その新機種が登場しました。
インテルのモバイルノートPCなどをターゲットにした高効率CPU、「Apollo Lake」シリーズを搭載した「LIVA Z」です。
以前のLIVAシリーズよりも薄い筐体となりましたが、フットプリントは少し大きめになっているようです。ですが、相変わらずのコンパクトさが実現されています。
今回はLIVAシリーズの正常進化形、LIVA Zをご紹介します。
コードネーム「Apollo Lake」のCPUを搭載
実は今、低価格のタブレット型パソコンやスティック型PCは立場が微妙な状況になっています。インテルがこれらの機種が必ずといっていいほど採用している、ATOMブランドのCPUの新製品の開発をキャンセルしてしまったからです。このため低価格のWindowsタブレットやスティック型PCは従来のATOMシリーズのプロセッサを使い続けています。
現状、Windows 10を動かすレベルなら従来のATOMでも特に問題はないのですが、ATOMシリーズのプロセッサがいつまで生産し続けられるかの保証がありません。
そんな中、LIVA Zでは開発コードネームでは「Apollo Lake」というインテルの新CPUを採用してきました。
こちらのCPUは、主にパソコン向けにPentiumやCeleronブランドの低価格CPUとして販売が行われるタイプのチップです。
実はCPUのコアの部分は新世代のATOM向けとしても開発が行われてきた製品で、新ATOMの開発がキャンセルされなければ、Apollo Lakeシリーズと共通のコアを持つ新ATOMが登場していたはずなのです。
Apollo LakeのCPUではATOMよりも発熱・消費電力の枠が大きめに取られている関係で、実性能はATOMよりも高めになるはずです。その代わり放熱の設計が小型のタブレットパソコンなどでは難しくなるはずです。
ただ、LIVA Zではファンレスで小型筐体が実現できていますので、発熱自体はさほど大きくないことは予想できます。Apollo Lakeの上位のCPUでは、熱設計の目安となるTDPは6Wとされています。
Windows 10組み込みの完成品PCとしても、ベアボーンキットとしても発売
LIVA ZはWindows 10を組み込んだ状態の完成品のパソコンとしても販売が行われます。こちらは、デュアルコアのモデルが26,800円+消費税、クアッドコアのモデルが32,800円+消費税となります。
小型の筐体ながら、USB3.0が4つ、Mini DisplayPortやHDMI端子、ギガビットの有線LANポートを2つ持つなど、かなり本格的な作りになっているのが特徴です。
また、OS、メモリ、ストレージを含まない形のベアボーンキットでの販売も行われ、こちらは、デュアルコアモデルが23,800円+消費税、クアッドコアモデルが29,800円+消費税となります。
完成品パソコンのモデルの方が割安な価格がつけられていると言えます。ただ、完成品モデルではストレージが32GBとWindows 10を動かすにはぎりぎりの容量のため、SDカードや外付けHDDの増設が必須になると思います。
法人向けも
また、筐体が少し厚めになりますが、2.5インチのハードディスクなどを内蔵可能なスペースを備えたLIVA Z-Eも発売されます。こちらは産業用として使われることも考慮に入れ、今はもう通常のパソコンには搭載されなくなっている「シリアルポート」を4つも搭載していることも特徴です。
生産方式が受注生産で一般に出回ることはないそうですが、こちらも非常に面白そうな製品です。
今後の小型PCのありかたの指針に?
LIVA Zのこの形は、ATOMプロセッサ亡き後のマイクロPCの指針になるかもしれません。CPUのコアの面から考えればApollo LakeはATOMの直系とも言えるCPUですし。また、パソコン用に周辺機器とのインタフェースが作り込まれていますので、ストレージにはeMMCタイプではなくSATA3接続などのより高速なSSDも利用可能です。
そういった面も考えると、発熱面の対処さえ出来れば、より実用性の高いマイクロPCが製品化される可能性もありそうです。