アメリカで開催された世界最大の家電見本市CES 2017の会場で発表が行われて参加者の度肝を抜いた、ONKYOブランドのハイレゾ対応高音質スマートフォンが本当に発売されることになりました。
中身的には「スマートフォン機能がオマケ」です、完全に。
同社のハイレゾ対応ポータブルプレイヤーDP-X1Aを丸々スマートフォンに突っ込んだような、そんなスマートフォンとしては異例中の異例の音楽再生最重視の作りとなっています。
正直なところ、今までのハイレゾ対応スマートフォンとは物量面でも桁が違います。
今回はそんな衝撃のスマートフォン(?)、ONKYOのDP-CMX1をご紹介します。
オーディオ機能はまさにDP-X1A譲り
製品化に当たっては「GRANBEAT」という愛称も新たにつけられましたが、まさにかつてない物量で極めて充実した音楽再生能力・機能を持つのがこのスマートフォンです。DACにはESS社の「ES9018C2M」、ヘッドフォンアンプにはやはりESS社の「ES9601K」を2基ずつ搭載しています。これらを含むこだわりの回路構成によって、今、高音質のポータブルプレイヤーでは流行となっている「バランス駆動」に対応できるようになっています。
このあたりは、完全にポータブルプレイヤーのDP-X1A譲りのものです。
この作り込みにより、PCM形式のハイレゾ音源は24bit/384kHzまでに対応。DSD形式はプレイヤー単体ではPCM形式に変換しながらの再生になりますが、11.2MHzまでの音源に対応可能になっています。
そしてONKYOが普及に力を入れている新ハイレゾフォーマットのMQAにも、スマートフォンとしては初めて対応することもトピックです。
Bluetoothヘッドフォンではハイレゾ音源にも対応可能な新しいコーデック「aptX HD」もサポートしています。
内蔵しているヘッドフォンアンプもかなり強力で、ポータブルプレイヤーでは鳴らしにくいタイプのヘッドフォンにも対応可能なパワーがあります。
スマートフォンとしてはミドルクラスの性能
スマートフォン機能に関してはハイエンドクラスのものを搭載するのはさすがにコスト面でも辛かったようで、ミドルレンジラスの性能となります。心臓部のSoCにはクアルコムのSnapdragon 650を搭載。
こちらのSoCのCPU部は、1.8GHz駆動の高性能コアを2つ、1.4GHz駆動のローパワー・高効率コアを4つ搭載する、ヘキサコアタイプとなっています。
また、統合されるGPUもミドルクラスのもののため、高度なグラフィックを持つ最新のスマホゲームでは若干性能に不足が出るかもしれません。
メインメモリは3GBとこちらはハイエンド並み。ストレージはファイルサイズの巨大なハイレゾ音源を扱うことも考慮してか、128GBと大容量になっています。
256GBまで対応可能なマイクロSDXCスロットを1つ備えていますので、最大384GBものストレージを扱うことが可能です。
画面は5型のフルHDタイプ。
こちらも最近流行の2枚のSIMカードを挿入してのDSDS(デュアルスロット・デュアルスタンバイ)に対応します。
SIMロックフリー端末ですが、au系のSIMには対応しないとの情報もあります。mineoなどのau系のMVNOを利用する方はちょっと注意した方が良いかもしれません。
対応するLTEのバンド(電波帯)は少なめですが、ドコモ系、ソフトバンク系はどちらもいわゆる「プラチナバンド」に対応できる形です。
論理通信速度は最大150Mbpsまでとなっていて、キャリアアグリゲーションには未対応です。
カメラなども頑張っているが防水ではない点に注意
リアカメラには約1,600万画素、フロントカメラに約800万画素のセンサーを採用するなど、カメラ機能もかなり頑張っている端末です。ですが、使用する上では防水機能を持たない点には注意が必要です。
バッテリーは3,000mAhと、最近のスマートフォンの水準となっていて、ハイレゾ音源を20時間以上連続再生が出来るようになっています。
重量はスマートフォンとしてはやや重め、ポータブルプレイヤーとしては軽めの234gとなっています。
価格は考え方によって高いとも安いとも取れる落としどころ
GRANBEAT DP-CMX1の価格は税別で84,800円とされています。今のハイエンドスマートフォンと同レベルの価格帯ですね。スマホ機能だけを見た場合にはミドルクラスのスマートフォンに相当する機種ですから、高い、という評価になると思います。
ですが、この機種とほぼ同等のオーディオ機能を持つプレイヤーDP-X1Aの価格が税込み7万円程度です。これプラス1万5千円でスマホ機能も付いてくる、と考えると、今度は逆にリーズナブルに思える価格になるのではないでしょうか。
普通のスマートフォンを求める方には全く向きませんが、荷物を増やさずできるだけ音楽を良い音で聴きたい方には、非常に魅力的な端末が生まれたと思います。