2016年春頃に日本市場への投入が発表されていたHPのハイエンドWindows 10スマートフォン、Elite x3が遂に9月5日より発売開始されました。
Elite x3は現時点での色々なOSのスマートフォンすべてを合わせても、ほぼ最先端となるスペックも実現した、まさに真のハイエンドスマホと呼べる内容になっています。
また、搭載した最新チップのおかげで、携帯電話向けContinuumは有線接続での利用が可能になっています。Miracast経由の接続のContinuumとはひと味違う使用感を実現でいているところ特徴です。
スペック
スマートフォンの核となるチップのSoCには、現時点のクアルコム製SoCの最高峰、Snapdragon 820を搭載しています。CPU部は最大2.2GHz駆動の4コアとなっています。1つ前の世代のSnapdragon 810が8コアCPUだったことから一見スペックダウンしているように見えますが、実はSnapdragon 810で8つのコアが同時に動作することは基本的にはありません。重たい処理向けの4コアと軽い処理向けの別の設計の4コアをくっつけたようなもので、スマートフォンの動作内容に合わせて使われるコアが変わります。
こういったこともあり、CPU性能面でもSnapdargon 820のほうがずっと高い性能を実現しています。また省電力性にも全く問題がありません。
メインメモリは4GB、ストレージは64GBを搭載と、モバイルノートパソコン並み。
ディスプレイにはWQHD解像度(2,560 x 1,440ドット)の6型有機ELディスプレイを搭載しています。
メインカメラは約1,600万画素のセンサーを採用。バッテリーの容量も大きく、4,150mAhのものを採用しています。
Windows 10の生体認証システムであるWindows Helloに対応する、指紋センサー、虹彩認証センサーを搭載するのも特徴的で、セキュリティがより重要となるビジネスユーザーにはうれしい仕様と言えるでしょう。
また、Elite x3はWindows 10スマホとしては恐らく初めて、防塵・防滴性能を備えたスマートフォンとなります。さらに米軍調達仕様もクリアする堅牢さも備えています。
サイズは6型有機ELディスプレイを備える分かなり大きめで、83.5mm x 161.8mm x 7.8mmとなり、重量も194gあります。
携帯ネットワークはauのものに最適化されていて、auの相互接続性試験をパス。auネットワークのキャリアアグリゲーションやWiMAX2+も利用可能になっています。
最大の特徴は有線Continuum
スマートフォン本体だけでも非常に優秀なスペックを誇るElite x3ですが、他のWindows 10スマホと比べて最大のメリットとなりそうなのが、有線接続での携帯電話向けContinuumが利用可能となっている部分でしょう。Windows 10 Anniversary Updateで導入された接続アプリを使うなど、Miracastレシーバー側に性能の高いものを利用すれば、無線接続のContinuumも非常に高い実用性を発揮することが出来ますが、やはり有線接続のContinuumは使い勝手でも1歩上の感があります。
マウス操作によるポインタ移動に非常に高い「ダイレクト感」を感じます。
また、外部ディスプレイ表示の画面解像度にも制約が少なくなり、フルHDでの表示も可能となります。
ただ、携帯電話向けContinuumの外部ディスプレイ表示では、まだアプリのウィンドウ表示がサポートされていません。広くなった表示領域をフル活用する術がないところはちょっと残念な部分です。
早期のマルチウィンドウ表示のサポートを期待したいところです。
ユニークな周辺機器も
Elite x3には、自宅などでデスクトップパソコンライクに使うための「デスクドック」、出先ではノートパソコン的に利用するための「ノートドック」が準備されています。特にユニークなのはノートドックで、Elite x3と有線のContinuumで接続することにより、ドック側の大きなディスプレイとキーボードを利用して、Elite x3をモバイルパソコン的に利用することが出来るようになります。
また、ノートドックには大容量のバッテリーを内蔵していて、Elite x3側の充電も可能です。組み合わせることでより長時間の利用も可能にしています。
価格は他OSのハイエンド機並
スペックがスペックだけにかなり高価なプライスタグがつけられることが予想されたElite x3ですが、ふたを開けてみると他OSのハイエンド機と横並びか若干安めの程度のお値段となりました。本体価格は77,800円。デスクドックは12,000円、ノートドックは49,800円。いずれも税別の価格です。
KDDIのチャンネルでは法人向けの販売が行われますが、HPの直販サイトからは誰でも購入可能な形で販売が行われます。
アプリのラインアップの薄さの関係からスマートフォンへの依存度が高いユーザほどマッチしにくい端末になっていますが、Windows 10パソコンを活用していてスマートフォンの機能にはあまり依存しないユーザーには、逆に他OSのスマートフォンよりも良くフィットする端末になるかもしれません。