ハイレゾ級をうたう「EarsOpen」が骨伝導ヘッドフォンの音質を変える?





かつては耳を塞がないタイプのヘッドフォンというと骨伝導タイプのものだけでした。ここにきてまた耳穴を塞がないタイプのイヤフォン・ヘッドフォンが少しずつ注目を集めているようで、そんな中で全く別のタイプの製品も登場するようになりました。



この流れの中で骨伝導タイプも色々な面での改善を図った製品が登場しそうです。その一つが今回取り上げる「EarsOpen」です。



骨伝導方式のヘッドフォン・イヤフォンでは頭蓋骨を通して内耳まで音の振動を伝えますが、普通に耳から音を聞くのとは音の伝達特性が異なるため、音質の面でハンデのある製品ばかりだったようです。



EarsOpenはその部分にも踏み込もうとする製品です。


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「ハイレゾ級」を実現する振動子

EarsOpenは独自のダイナミック型振動子を使うことで、従来の骨伝導タイプのヘッドフォンなどで使われてきたドライバーよりも、ずっと広い範囲の音を再現できます。



対応できる音の範囲は4Hz〜40kHz。うたい文句通りにまさにハイレゾ対応を名乗れるレベルの周波数範囲をカバーします。



EarsOpenで使われる振動子は、骨伝導に関する多くの優れた技術を持つゴールデンダンス社のものを採用しています。直径10mmの比較的薄型の円筒系の高効率のデバイスになっていて、EarsOpenのイヤーピースの小型化に貢献しています。



通常の中口径のダイナミック型ドライバーがだいたい口径10mm前後の振動板を使っていますので、EarsOpenのドライバーは一般的なイヤフォンと同じ程度のコンパクトさと言うわけです。


独自の装着法と形状

従来の骨伝導タイプのヘッドフォンでは、顎の骨や頬骨周辺に振動子を押しつけることで音を伝える製品が多かったと思います。



これに対してEarsOpenでは耳穴の下の耳部分にイヤーピースを引っかけて、耳たぶを挟み込むような形で装着する仕組みです。耳穴こそ塞ぎませんが、遠めにはやや大きめの普通のイヤフォンを使っているようにも見える形になっています。



音の伝わる経路としては、耳の軟骨から振動を伝える形になりそうですね。



EarsOpenのイヤーピースは一般的なイヤフォンよりも大きなサイズに見えますが、大柄に見える部分のある程度の割合は耳に安定して装着するためのクリップとフックです。



小型のカナル型イヤフォンよりは存在感が大きくなりますが、構造的に簡単にずり落ちることはなさそうです。


音質面の配慮

冒頭に書いたとおり、頭蓋骨を伝わってくる音と普通に耳の穴から空気の振動経由で伝わってくる音は伝達の特性に違いがあって、具体的言えば聞こえる音質が大きく変化します。



自分の声を録音して聴いてみると、普段聞き慣れている声とは大きく違って違和感を感じるのと同じ原理です。普段聞き慣れている自分の声のある程度の割合は、頭蓋骨経由、つまり骨伝導で聞いている部分がある、ということですね。



この関係で、骨伝導イヤフォン・ヘッドフォンで高音質を実現する製品は、今までは存在しませんでした。



EarsOpenはその部分にも楔を打ち込もうとしているようです。



DSPやアンプの調整で、楽器の倍音成分を再生する周波数帯域の特性をコントロールしたり、音量別のダイナミックレンジを積極的にコントロールすることで、従来の骨伝導タイプのヘッドフォンでは再現できなかった音質を狙っています。



ただ、通常の有線タイプのEarsOpenは電源を持っていないようで、このタイプでこのあたりの音質コントロールがどうなっているのか、ちょっと気になる部分ではあります。


聴覚補助機能つきも

通常の有線タイプのEarsOpenは比較的手ごろな価格が実現されています。



これに対して、聴覚補助機能付きの製品も計画されていて、こちらの方はさすがにちょっと高価なプライスタグが付けられています。



こちらの製品は明記されている機能から見ると、補聴器的な機能が追加されているように見えます。多くの一般的な補聴器とは異なり、きちんとステレオで音を伝えられるのが最大の特徴となりそうです。



骨伝導により直接内耳に音を伝えられる、その部分もEarsOpenの大きなメリットになりそうです。


有線タイプは比較的お手頃価格から

EarsOpenも、やはりクラウドファンディングから世に出ることになりそうです。現在GREEN FUNDINGでプロジェクトが進行中です。



既に目標額の100万円を大きく超える3,400万円以上を調達して目標は達成済み。製品の生産は確実です。有線タイプは正式に製品化される価格の25%引きの出資で1つ入手可能なコースの募集がまだ続いています。



この製品も耳を塞がないため、音楽を聴きつつ音の情報でも周囲の状況の確認が可能です。IPX5の防滴性能も持っていますので、色々な新しい使い方も考えられる製品になりそうです。

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