最近デジタル一眼レフの世界では、35mmフィルムとほぼ同じサイズのイメージセンサーを持つ機種に主力が移行しつつあります。新製品の数でもより付加価値の高い35mmフルサイズ機が多くなりました。
そんな中でもAPS-Cサイズのセンサーならではの「機動性」を活かした機種には根強いニーズがあります。そのことを証明した機種の一つはキヤノンのEOS 7D MarkIIでしょう。何年か前のプロ機に匹敵するかそれを超える性能をハイアマチュア向けのカメラに詰め込んできました。
このジャンルのカメラはD300以降、ニコンではしばらく不在となっていた形で、しばらくはEOS 7D MarkIIの独走を許すような形でした。こういった事情もあり、ニコンのAPS-Cサイズセンサー搭載デジタル一眼レフのフラッグシップ機を求めるユーザーの声は高まりを見せていました。
そんな中2016年春、遂にニコンのAPS-Cサイズセンサー搭載デジタル一眼レフのフラッグシップ、D500が登場します。
このジャンルのカメラのトップランナーに
2016年のカメラ関係のエキスポ、CP+に合わせるような形で発表されたD500ですが、中身は恐らくユーザーの期待以上のものが実現されています。間違いなく色々な面でこのジャンルのカメラの最高のスペックが実現されていると言えるでしょう。
毎秒10コマの高速連写を実現し、画面の非常に広い部分をカバーできるオートフォーカス可能なエリア、新世代の高性能メモリカードも利用できるようになって最大200枚までの連写が可能になります。(JPEGのみの記録であれば無限連写)
4K動画の記録も可能で動画の撮影機能に関しても抜かりがありません。
一眼レフの高速で正確なオートフォーカスが可能なエリアは、プロ機のD5をもはるかにしのぐ広さです。一眼レフの仕組み上、35mmフルサイズセンサー搭載のカメラでは、AF可能なエリアを広げるには機構的な限界がありますので、この部分にもAPS-Cサイズセンサー搭載機の大きなメリットがあります。
また、一眼レフでは撮影の際にファインダーに光を導くミラーを動かさないといけませんが、APS-Cサイズセンサーのカメラではこのミラーのサイズも小さく、プロ用のデジタル一眼レフのような強力ですが巨大で重いバッテリーを搭載せずコンパクトで軽いカメラ本体のまま、高速連写を実現可能なところも大きなメリットです。
D500は様々なスペックで完全にライバルであるキヤノンのEOS 7D MarkIIを超えてきました。これからしばらくは間違いなくこのカメラがこのジャンルのトップランナーです。
写真のジャンルによってはプロも
APS-Cサイズセンサーのカメラは、35mmフルサイズ機よりもイメージセンサーが小さい分、レンズの実質の焦点距離が長くなります。このため望遠側に強くなります。
例えばニコンのAPS-Cデジタル一眼レフならば400mmの望遠レンズを使うと、実質の焦点距離は600mm相当になります。400mmと600mmのレンズでは、サイズも重量も価格も全然違いますので、様々な面で機動性が段違いになります。
加えてオートフォーカス可能なエリアの広さで、望遠レンズを使った動きモノの撮影ではAPS-Cサイズセンサー搭載機は強力な撮影力を持っているのです。このため撮影する写真のジャンルによっては、あえてAPS-Cサイズセンサー搭載機を選ぶプロもいます。
一般ユーザーでも、例えば屋外で動き回るお子さんを撮影するには、こういったカメラは絶大な威力を発揮します。
待望の1台
まさにユーザー待望のニコンのAPS-Cデジタル一眼フラッグシップモデルですから、このカメラは大歓迎されるでしょう。また、D500が素晴らしいスペックを実現したことで、キヤノンもさらに気合いを入れてEOS 7D MarkIIIの開発に力を入れるでしょう。
両社の競争で、またもう一度APS-Cサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフのジャンルが盛り上がりを見せるかもしれません。